今回は、現在通勤型車両の主流の一つになっている軽量ステンレス車体の黎明期に登場した、コルゲート付きの車両を6形式取り上げ、2回の記事にまとめています。
取り上げた車両の他に、地方私鉄に譲渡されて運用されている車両もありますが、今回は導入当初から現在まで同じ路線で運用されている車両のみを選んでいます。
今回の記事に掲載した列車は、次の動画でご覧いただけます。
6形式を取り上げる前に、オールステンレス車両の歴史を簡単に振り返ります。
軽量車体以前のオールステンレス車両
オールステンレス車両は1962年に登場した東急7000系、京王3000系、南海6000系から歴史が始まり、いずれも側面の窓下などに「コルゲート」と呼ばれる波形の外板を使用していました。
東急7000系は、現在も養老鉄道、弘南鉄道、北陸鉄道、水間鉄道で運用されています。
養老鉄道7700系の動画は、こちらからご覧いただけます。
京王3000系は、現在も北陸鉄道、上毛電鉄、アルピコ交通、岳南電車、伊予鉄道で運用されています。
北陸鉄道7700系の動画は、こちらからご覧いただけます。
南海6000系は近年まで全車健在でしたが、8300系の導入により急速に数を減らしています。
南海6000系(無塗装復刻車)の動画は、こちらからご覧いただけます。
その後は東急電鉄や南海電鉄を中心にオールステンレス車両が導入されましたが、幅広く普及するには至っていませんでした。
東急7200系は、現在も豊橋鉄道や大井川鐵道で運用されています。
豊橋鉄道1800系の動画は、こちらからご覧いただけます。
東急8000系は現在も伊豆急行線で運用されているほか、派生型の8500系は長野電鉄や秩父鉄道で運行されています。
伊豆急行8000系の動画は、こちらからご覧いただけます。
地方私鉄でオールステンレス車両を採用した静岡鉄道の1000形は2024年6月に全て引退し、現在は熊本電鉄やえちぜん鉄道で運行されています。
静岡鉄道1000形の動画は、こちらからご覧いただけます。
東急8090系
日本初の軽量ステンレス車両は、1980年に登場した東急8090系で、コルゲートからビードプレスタイプの車体に変わっています。
側面に赤いストライプも入り、全体的にスッキリしたフォルムになりました。
富山地方鉄道17480形の動画は、こちらからご覧いただけます。
8090系以降、国鉄205系、211系などビードプレス車体の軽量ステンレス車体が採用される事例が増えていきます。
一方、それまでにステンレス車体を採用していた私鉄を中心に、コルゲート付きの軽量ステンレス車両が導入され、過渡期といえる車両になっています。
京成3600形
京成3600形は1982年から導入された車両で、最盛期は54両が在籍していましたが、3000形などに置き換えられる形で、6両編成1本と4両編成1本まで減少しています。
下の画像は、千住大橋駅の京成成田方面ホーム(京成上野側)から撮影しています。
6両編成の1本は導入当初の「ファイアーオレンジ」のストライプを巻いた姿に復刻されて、普通列車を中心に運用されています。
下の画像は、江戸川駅の京成上野方面ホーム(京成上野側)から撮影しています。
先代の3500形は車体外板をステンレス、骨組みを鋼製としたセミステンレス車(最終増備車を除く)でしたが、3600形はコルゲート付きのオールステンレス車になっています。
ファイアーオレンジの復刻車は2020年から運行されていますが、ストライプの色が褪せていたり、劣化が見受けられます。
なお、LEDではない表示幕車の京成臼井行きは、北総線の白井駅との混同をふせぐため、ひらがなで「うすい」と表示されています。
下の画像は、ユーカリが丘駅の京成上野方面ホーム(京成上野側)から撮影しています。
すでに少数派の形式になっていることから、2025年2月から導入される3200形により、最初に置き換えられる可能性があります。
京成ではその後もオールステンレス車両の導入が続いており、次の世代の3700形はビードプレスタイプの車体に移行しています。
3700形の行き先表示はLEDで「京成臼井」となっています。
京成3700形の動画は、こちらからご覧いただけます。
南海6200系50番台(旧8200系)
南海6200系50番台は1982年に登場した車両で、6000系以降オールステンレス車が継続導入されていた高野線に配置されています。
南海高野線では冒頭に紹介した6000系以降も6300系(リニューアル前は6100系)、6200系とオールステンレス車の導入が続いています。
南海6300系の動画は、こちらからご覧いただけます。
6200系50番台の登場時は8200系を名乗っていましたが、2013年から開始されたリニューアル工事後に6200系の50番台に形式変更されています。
リニューアル工事では、走行機器が界磁チョッパ制御からVVVFインバータ制御に更新されています。
8200系は前面にFRP製の縁取りがあります。
少しデザインは異なりますが、6200系(4両編成)も先行して走行機器が更新されていたこともあり、同じ形式に収められています。
南海6200系の動画は、こちらからご覧いただけます。
リニューアル前は単独で運用されていましたが、その後は6000系や6300系と組んで8両編成でも運用されています。
南海高野線でオールステンレス車の導入が続いている間、南海本線では鋼製車体の車両が採用されていました。
南海7100系(濃淡グリーン旧塗装復刻車)の動画は、こちらからご覧いただけます。
1985年からは南海本線にもオールステンレス車の9000系が導入されますが、次回の記事で取り上げます。
次回【その2】では、東武9000系、東武10000系、南海9000系、京王7000系を取り上げます。
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